Track Stack の概要

Track Stack は、トラックの整理や操作、トラック数の多いプロジェクトの管理、オーディオサブグループの作成と管理に役立ちます。

Track Stack にはフォルダスタック集約スタックの 2 種類があります。どちらのタイプにも、メイントラックと 1 つまたは複数のサブトラックがあります。メイントラックのトラックヘッダには開閉用三角ボタンがあり、これを使ってサブトラックの表示と非表示を切り替えます。スタックを閉じると、トラック領域にはメイントラックのみが表示されます。

サブトラックには、オーディオトラック、ソフトウェア音源(レイヤーおよびマルチ出力のソフトウェア音源を含みます)トラック、外部 MIDI 音源トラック、Aux トラックのうち任意のトラックタイプを含めることができます。フォルダスタックに集約スタックをサブトラックとして含めることもできます。

フォルダスタック

フォルダスタックを使うと、複数のトラックを組み合わせて 1 単位として操作できます。個々のサブトラックのオーディオルーティングは変更されません。フォルダスタックを作成したときに、メイントラックに割り当てられているチャンネルストリップをスタックマスターと呼びます。メイントラック(スタックマスターのチャンネルストリップ)を使って、フォルダスタックのミュートおよびソロの切り替えや、音量レベルの調整ができます。

図。 メイントラックとサブトラックが表示されたフォルダスタック。

フォルダスタック内の個々のサブトラックでは Smart Control を使えますが、メイントラックには Smart Control がありません。フォルダスタックのメイントラックにはパッチがなく、メイントラックが選択されているときはパッチを保存できません。

フォルダスタックのメイントラックにはリージョンがありません。リージョンがあるのはサブトラックだけです。フォルダスタックを閉じると、すべてのサブトラックの内容を合わせた概要がメイントラックに表示されます。

メイントラック(スタックマスターのチャンネルストリップ)の「ミュート」ボタンを使ってフォルダスタックをミュートすると、個々のサブトラックのミュートまたはソロの状態は維持され、メイントラックのミュートを解除すると再びアクティブになります。

集約スタック

集約スタックを使うと、複数のトラックを組み合わせてオーディオサブグループに出力をルーティングできます。集約スタックを作成すると、サブトラックからの出力はメイントラックに割り当てられている Aux にバス経由でルーティングされます。メイントラックが選択されているときは、集約スタックのミュートとソロの切り替え、集約スタックの音量とセンドレベルの調整、プラグインの追加と編集ができます。これらの操作は集約スタックのすべてのサブトラックのサウンドに反映されます。

図。 メイントラックとサブトラックが表示された集約スタック。

集約スタックにサブトラックとしてソフトウェア音源トラックが含まれている場合は、メイントラックで MIDI リージョンの録音と再生ができます。集約スタックのすべてのソフトウェア音源サブトラックによってメイントラックの MIDI イベントが再生されます。また、個々の(ソフトウェア音源)サブトラックでも MIDI リージョンの録音と再生ができます。集約スタックを閉じると、すべてのサブトラックの内容を合わせた概要がメイントラックに表示されます。

集約スタックのメイントラックが選択されているときは、集約スタックに別のパッチを選択したり、独自のパッチを作成したりできます。集約スタックのパッチにはメイントラックとすべてのサブトラックを含めることができます。これらのトラックのチャンネルストリップ設定とプラグイン設定も含まれます。「Logic Pro」には、集約スタックで使うために設計されたパッチのセットが付属しています。

集約スタックでは、サブトラックだけでなく、メイントラックでも Smart Control を使えます。メイントラックにある Smart Control のスクリーンコントロールは、メイントラックだけでなく、任意のサブトラックのチャンネルストリップまたはプラグインパラメータにマップできます。

「Logic Pro」に含まれている集約スタックのパッチについては、メイントラックにのみ Smart Control のレイアウトが表示されます。このレイアウトは、サブトラックが選択されている間も引き続き「Smart Control」パネルに表示されます。ただし、作成した集約スタックのパッチでは、サブトラックの Smart Control の各レイアウトが維持されます。

集約スタックを使うと、MOSI(マルチ出力のソフトウェア音源)とその個々の出力を 1 単位として扱うことができて便利です。集約スタックは、プログラミングしたドラムキットなどに利用できます。MOSI 用の集約スタックを作成できます。これは、1 つ目のサブトラックの MOSI チャンネルストリップと、この MOSI スタックの出力用 Aux チャンネルストリップを伴うその他のサブトラックで構成されます。メイントラックで MIDI リージョンを録音および編集すると、MOSI が含まれるサブトラックに MIDI イベントが送られて再生されます。

集約スタックを作成すると、異なる送り先に個々のサブトラックをルーティングできます。スタックの「外」にサブトラックをルーティングすると、これらのサブトラックはメイントラックのコントロールで操作できなくなるので注意してください。作成したオーディオサブグループは集約スタックの一部として保存され、各 Aux は集約スタックの最後(一番下)のサブトラックとして表示されます。

Track Stack にソフトウェア音源サブトラックが 1 つだけ含まれている場合、メイントラックを選択すると、ソフトウェア音源サブトラックは左側のインスペクタ・チャンネル・ストリップに表示され、このサブトラックの送り先(通常はメイントラックの Aux)は右側のインスペクタ・チャンネル・ストリップに表示されます。同様に、Track Stack にオーディオサブトラックが 1 つだけ含まれている場合(なおかつソフトウェア音源サブトラックが含まれていない場合)、メイントラックを選択すると、オーディオサブトラックは左側のインスペクタ・チャンネル・ストリップに表示され、このサブトラックの送り先(通常はメイントラックの Aux)は右側のインスペクタ・チャンネル・ストリップに表示されます。

マスタートラックは Track Stack でもあります。詳しくは、マスタートラックを使って作業するを参照してください。