チューニングの概要
西欧音楽で使われている 12 音階は、数世紀の時を経て発展を遂げたものです。周波数は連続的に変化するので、これらの 12 音階の間にもいくつもの微分音が存在します。
音階を簡単に説明するために、倍音の仕組みを見てみましょう:開始(または基準)周波数が 100 Hz の(1 秒間に 100 回振動する)音があるとします。この音の第 1 の倍音は 2 倍、つまり 200 Hz になります。さらに、第 2 倍音は 300 Hz、第 3 倍音は 400 Hz と続いていきます。音楽的には、周波数が倍になると、(12 音階では)ピッチが 1 オクターブ上がることになります。第 2 倍音(300 Hz)は基準音(100 Hz)よりピッチが 1 オクターブと純正 5 度高い音になります。
このため、楽器をチューニングする際は、各 5 度が純正であればいいように思えるかもしれません。この方法であれば、C からオクターブ上と下の C に向かって完全なスケールが成立するように見えます。
次の表は、さまざまな計算をまとめたものです。
音程 | 周波数(Hz) | 備考 |
---|---|---|
C | 100 | × 1.5/2 |
C# | 106.7871 | オクターブ内に収めるために 2 で割る |
D | 112.5 | オクターブ内に収めるために 2 で割る |
D# | 120.1355 | オクターブ内に収めるために 2 で割る |
E | 126.5625 | オクターブ内に収めるために 2 で割る |
F (E#) | 135.1524 | |
F# | 142.3828 | オクターブ内に収めるために 2 で割る |
G | 150 | × 1.5/2 |
G# | 160.1807 | |
A | 168.75 | |
A# | 180.2032 | |
B | 189.8438 | |
C | 202.7287 |
表を見ると分かるように、物理的法則に従った予測では、100 Hz の C の 1 オクターブ上は 200 Hz の C になるはずですが、実際には純正 5 度を積み重ねた結果の C は 202.7287 Hz になっています。決して計算が間違っているわけではありません。実際に楽器を使っていたら、違いはもっと明確に聞こえるはずです。対策として、次のオプションから選択してください:
それぞれの 5 度を完全に維持し、オクターブの音程がずれるのは容認します。
最後の 5 度(F から C)の音程をずらし、各オクターブの音程がそろうようにします。
オクターブにおける音程のずれは不協和音として聞こえるので、どちらを選択したらいいかは明らかです。